【動物病院様向け】時間外労働について
はじめまして!株式会社HUMOの松本と申します。
この度11月より新しくHUMOに入社いたしました。
HUMOに入社する前までは、1000名超の規模の会社で新卒・中途の採用担当を行ってきました。
私のブログでは、動物病院様向けの採用に関するお役立ち情報や、これから就活を迎える(または絶賛就活中である)学生さん・転職を考えている方向けにこれまでの人事経験を踏まえ、採用活動に関する情報を発信していければと思っています!
第一回目となる今回は、動物病院様向けに、労働条件の基本、<時間外労働>に関してお伝えしていきたいと思います。
36協定、結んでますか?
従業員が働くことのできる時間として、<1日8時間・1週40時間まで>と労働基準法で定められています。これを、法定労働時間といいます。
労働時間は各病院でそれぞれ定めているかと思いますが、とはいえ、毎日様々なトラブルを抱えた動物たちの診療を行う中で、どうしても定められた時間を越して働く必要も出てくるかと思います。
法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合、つまり時間外労働が発生する場合事前に従業員と「時間外労働・休日労働に関する協定届」、通称36協定を結んでおく必要があります。
もし結ばずに残業をさせてしまった場合、「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」という恐ろしい罰則の対象となってしまうので、要注意です・・・。
では、36協定とはどのようにして結べばよいのでしょうか?
まず、協定を結ぶために従業員から代表者を選出する必要があります。
選出方法は、下記3項目のいずれかです。
- 投票を行い、過半数の従業員の指示を得た人を選出する方法
- 挙手を行い、過半数の従業員の指示を得た人を選出する方法
- 事前に候補者を決めておいて、投票や挙手、回覧などによって信任を求め
過半数の支持を得た人を選出する方法
経営者や院長が一方的に指名したり、一定の役職者を自動的に従業員代表にすることはできません。
また、複数病院を経営している場合、それぞれの事業所で協定を締結する必要があります。
従業員代表が選出されたら、「時間外・休日労働に関する協定届」を用意します。
協定書に従業員代表が署名・捺印を行い、原本とコピーを提出します。
提出先は、病院の所在地を管轄する労働基準監督署です。
なお協定書については労働局のHPよりダウンロードができます。
この36協定を結んで初めて従業員が時間外労働(残業)をすることができるようになるのです。
なお、時間外労働が発生する場合、その旨を就業規則へ明記する必要があります。
この就業規則も、労働基準監督署へ提出しなくてはいけませんのでご注意ください。
(従業員が10名以下の病院の場合は、就業規則を作成および提出する必要はありません。)
時間外労働に対する割増賃金について
法定労働時間を超えて<時間外労働>となった場合、時給に対し25%の割増賃金を払わなければいけません。深夜時間帯(22時以降)ですとプラス25%の割増賃金を、また法定休日(週1日、4週4日の休日)に働いた場合35%の割増賃金となり、法定休日の深夜時間帯に働いた場合プラス25%の合計60%の割増賃金を払う必要があります。
労働条件 | 基礎時給比 | |
① | 時間外労働 | 1.25倍 |
② | 法定休日労働 | 1.35倍 |
③ | 深夜労働 | 1.25倍 |
④ | 時間外労働+深夜労働 | 1.5倍 |
③ | 法定休日労働+深夜労働 | 1.6倍 |
もし頻繁に時間外労働が発生してしまう場合、割増賃金の支払いでコストが大幅にかかってしまいます。業務を遂行するために必要なコストとは言え、病院の経営にかなりの影響を与えることになってしまいます。
その為、救済措置として労働基準法では<変形時間労働制>や<固定残業制>という働き方を認めています。簡単に説明すると、法定労働時間の範囲内で繁忙期や閑散期に合わせて勤務時間を調整することで、割増賃金が発生しないようにしたり、事前に想定しうる残業時間分を毎月固定で支払うよう取り決めておき、それ以上の残業が発生しにくくする働き方の事です。
これらの働き方の具体的な内容については、また別のブログで説明していきますね。
まとめ:スタッフが気持ちよく働ける職場環境を作りましょう!
ここまで36協定・割増賃金について、ご説明してきました。
今回のポイントは下記の2点です。
- 従業員を時間外労働(残業)させるためには、36協定の締結をしましょう!
- 時間外労働を行った時間分、割増賃金を支払う必要があります。
まずは従業員代表を選出しましょう。複数病院を経営している場合、すべての病院で締結が必要です。
「時間外・休日労働に関する協定届」を準備し、従業員代表の署名・捺印の上、労働基準監督署へ提出しましょう。
法定労働時間を超して働いた時間分、基本的には時給換算後1.25倍の割増賃金の支払いが必要です。
法定休日及び深夜の労働はさらに割増率が上がります。
業務を回しつつなるべくコストを抑えるために、働き方は定期的に見直しましょう。
日々の業務を行う上で、予期せぬアクシデントやトラブルなどで時間外労働はどうしても発生してきてしまうものです。
そうなった場合、「聞いていなかった!」「時間外労働なのに無給で働かされた!」など、従業員との労務トラブルが発生してしまう前に、事前に対策を講じておきましょう。
もちろん、「割増賃金さえ払えばよいだろう」という考え方ではなく、慢性的に20時間を超えるなど、一定の残業時間が発生している場合は、業務そもそもの効率化や従業員を増やすなどして残業時間を減らす取り組みが必要ですね。
なお、半年を超えて45時間以上の残業を継続させていた従業員が、万が一うつ病や心疾患・脳疾患を患ってしまい、最悪のケースとなってしまった場合、仕事との関連性が高まり過労死として認定される可能性が出てきてしまいます。
働き方・職場環境には十分に配慮しておきたいところです。