オンライン合同就職説明会を効果的に進める考え方と技術
株式会社HUMOの高濱です。
弊社では、「動物病院向けオンライン合同就職説明会を月に一度開催しています。
多くの動物病院さんにご参加いただきとても有り難く思っているのですが、ただ、説明会の様子を見ていて「もう少し改善できそうだな…」と感じることもあります。
そこで今回は私の実経験を踏まえ、「効果的なオンライン説明会の進め方」についてご説明します。少しでも参考になれば幸いです。
オンライン説明会が増えた
コロナの影響でオンライン説明会が増えました。弊社でもオフラインでの就職合同説明会開催ができなくなったため、オンラインでの説明会を開催しています。
オンラインでの採用活動を行う機会はコロナが収まった後も続くはずですので、今のやり方でいいか不安な方は、この機会に本腰を入れてオンライン説明会の実施方法を再考されてみることをお勧めします。
オンライン説明会をオフラインと同じようにやるからうまくいかない
オンラインセミナーにご参加されたことのある方であれば共感いただけると思いますが、オンラインでのセミナーや説明会は「一方通行」になりがちです。
説明会の病院担当者が話しっぱなし。
参加者は聞きっぱなし。
話者が相当話せる人でないと、これでは退屈になること間違いありません。
オンラインでの説明会は以下の特徴があるため、双方が盛り上がりづらくなります。
- 物理的な距離があるため、話者の熱量が伝わりにくく、参加者の熱量も伝わりにくい
- 物理的な距離があるため、話者がテンションが上がらない(また、ツールに慣れていないため余計なところで緊張している)
- 参加者に緊張感が無い(家でまったりした中で参加している)
オンライン説明会はオフラインのそれとは異なる特性を持つにも関わらず、オフラインと同じやり方をしてしまうため、うまくいかないのだと感じています。
オンライン説明会での「もったいない」例
実際に私がみてきた典型的なもったいない最たる例はこちらです。
- 話者が一方的に話す(スライドを読み上げるだけ)
オフラインの説明会では、話者が参加者の反応を見ながら対応を変えることができるため、オンライン説明会よりも参加者の満足度は低くなりづらい一方、オンラインの説明会では参加者の表情が見えづらくなるため、話者の話が一方通行に陥りやすくなります。
「ちゃんと伝わったかな?」「退屈させてたかな?」と不安になる場合は要注意です。
オンライン説明会のメリットとデメリット
オンライン説明会でのメリット・デメリットを整理してみましょう。
オンライン説明会のメリット
- 移動時間が必要ない
- 人の出演の調整がしやすい(移動がないため)
- 一度に大人数にアプローチできる
- ライブ感がある(同じ時間を共有している感)
- 説明の途中でも自由に質問を受けられる(チャット機能を用いる)
オンライン説明会のデメリット
- 話者と参加者の熱が相互に伝わりにくい
- 個人情報を集めにくい(現場で個人情報を集められない)
- パンフレットなどを手渡しできない
こう見るとお分かりいただけると思いますが、実はオンライン説明会ではより多くの方にアプローチできるメリットがある一方、説明会の「質」は落ちやすくなります。
では、オンラインによるメリットを最大限活用しつつ、デメリットをカバーする施策を考えてみたいと思います。
効果的なオンライン説明会の進め方
目指すのは、参加者が自院に興味を持ち、応募してくれることです。そのうえで、鍵となるのは以下の2つだと考えています。
鍵1.
進行の仕方:双方向のコミュニケーション・ライブ感
鍵2.
話す内容:興味を持つであろうことにフォーカスする
鍵1の「双方向のコミュニケーション・ライブ感を高める」具体的アイディア
オンライン説明会の大きなデメリットは「熱が伝わりにくい」ことでした。これをカバーするための具体的なアイディアを実経験を元にご紹介します。
○準備、心構え
- ツールに使い慣れておく
- 気持ち(テンション)を上げておく
- 可能な限り参加者にビデオオンにしてもらう(顔を見ながら話せるようにしておく)
○コミュニケーション
- 表情豊かに話す(オンラインは伝わりにくいので、少し大袈裟に)
- 途中で参加者に質問する
- チャットでアンケートを取る(答えてもらう以外にも、4択で回答を促す)
- 働いているスタッフに質問をし、スタッフとのコミュニケーションを映す
- 院内を歩きながら説明する
鍵2の「興味を持つであろうことにフォーカスする」具体的アイディア
時間に限りのある説明会で、「病院のことを満遍なく説明する」ことはお勧めしません。そもそも、20分や30分程度で病院のことを正しく理解してもらうことなど不可能です。
そこで、説明会に挑むマインドを変えましょう。
説明会は「自院に興味を持ってもらい、実習に来てもらうためのきっかけ作り」として捉え、参加者が興味を惹くであろう内容に焦点を絞り、話すのです。
例えば、下記のような内容に「一点集中」するのです。
- 獣医師(動物看護師)になり、開院、今に至るまでのストーリー
- 専門診療科を行なっている想いや実際に起きたストーリー
- 勉強できる環境・教育プログラム
- 夜間診療への想い
これらは説明会の一部として組み込まれていることが多いと思いますが、「引きが強い内容(自信を持って伝えられたり、アピールポイントだと思っていること)」をより詳細にまとめ、今まで以上に時間を割いてお話しするのです。
なお、自身で話すのは苦手だという場合には、他者に語ってもらうことも有効です。
具体的にはスタッフに出演してもらったり、事前に「スタッフから見た当院の特徴」を動画撮影しておき、流すなどです。
興味を持ってもらえないと意味がない
大事なことなので再度お伝えしますが、オンライン説明会で満遍なく薄く広く自院を説明することはお勧めしません。
本来の目的は
- オンライン説明会にて興味を持ってもらう
- ホームページを見てもらい、深く理解してもらう
- 実習や見学に来てもらう
ことです。
裏を返すと、興味を持ってもらえないと実習に来てもらえません。オンライン説明会では「興味を持ってもらう」ことに全力を捧げましょう。
問い合わせやホームページアクセスの導線づくり
あなたの病院に興味をもった方の次の行動は、ホームページへのアクセスです。したがって、問い合わせやアクセスがしやすい導線作りをオンライン説明会では行いましょう。
例えば、このようなことがオンライン説明会では実施できます。
- チャットで病院情報を送る(資料をデータ転送サービスで送ったり、サイトのURLを送る)
- 指定のURL(病院ホームページなど)をQRコード化しておき、バーチャル背景に設定する。またはQRコードが掲載された紙を印刷し、カメラに掲示する
- プレゼン資料にQRコードを掲載する
病院として一番避けたいのは、参加者に興味をもってもらったものの、ホームページへのアクセス導線が設計されていないためアクセスが億劫になり、参加者の熱が冷めてしまうことです。鉄は熱い内に打ちましょう。
病院サイトは採用サイトとしても機能している
あなたの病院に興味を持った方は、病院ホームページを閲覧します。
- どういう院長なのか
- どういう特徴があるのか
- どんな人がいるのか
上記のような情報は飼い主様に向けであるとともに、求職者向けでもあります。
飼い主様は多くいらっしゃる(集客面では困っていない)からと病院サイトに力を入れないのは、採用面では大きなマイナスです。
弊社では近年、採用専用のサイトをお作りすることも増えましたが、採用用のサイトをお作りする余裕があるのは一部の大きな病院さんに限られていると感じています。
しかし採用専用のサイトを無理に用意する必要はなく、まずは病院サイト上のリクルートページの内容をより充実させれば必要十分です。
(アピール材料が多い病院ほど、採用専用サイトがあった方が効果的ではあります)
多くの病院ではリクルートページは募集要項のみが掲載されていたり、エントリーフォームのみが設置されていますが、それは求人に困らない大手にのみ許されるやり方です。
求人で苦労されている病院さんであれば、リクルートページは厚くお作りされることを強くお勧めします。
リクルートページに盛り込みたい内容
リクルートページには自院の雰囲気がわかるものや特徴となるもの、強みとなるものを記載しましょう。
リクルートページに盛り込みたい具体的内容例
- 院長の経歴や開院に対する思い
- 自院が大切にしていること(ポリシー、ビジョン)
- 社員紹介やインタビュー
- 教育プログラムや将来的な道筋設計
- 働きやすい病院作りのための施策
- 病院のある地域の紹介
- 地域社会と繋がり
近年は、特に
- ブラックな環境ではないか
- 学ぶ環境が整備されているか
を重要視する学生さんが増えてきています。
もしかしたら自慢できるようなことはない、とお思いになるかもしれませんが、
・貴院で取り組んできたこと
・取り組んでいること
・現在考えていること(これから取り組むこと)
があれば積極的に公開するようにしましょう。
皆様の頭の中にある絵が少しでも多く参加者に伝わることで、貴院に興味をもつ確率が上がるはずです。
人材獲得の競争はこれからも熾烈さを増してきます。
できることから1つずつ取り組むことをお勧めします。
なお、弊社では動物病院さんが大事にしている想いや特徴を、私共の目を通して見つめ、ホームページ制作や運用を行なっています。
実際に作成したホームページをご紹介いたしますので、マネができる部分がありましたら是非積極的に自院に取り入れていただきければと思います。