顧客サービスと自分勝手
動物病院の顧客サービス
こんにちは。株式会社HUMOの江鹿です。
突然ですが、本サイトをご覧になっている動物病院関係者様の中で、「お客さんに言われたのでサービスインしてみたサービス」ときいてピンとくる方はいらっしゃいますか?
例えばネットからの予約システムとか、トリミング等の回数券とか、そういう類の物がよくあるケースだったりします。
これは、「お客様が喜ぶことを沢山やってあげたい」や「地域密着型の動物病院経営を」といった気持ちが強い動物病院が陥ることのある間違いだったりもします。
少々領域は違いますが、私自身の経験をいくつか例に挙げてみます。
自分勝手な後押し
ここ2年くらいのお話ですが、子供の世話をするようになってから腰の負担が大きいのか、ちょっと腰痛持ちになってしまったようで、整体に通っていました。
私の担当者だった若い男性が、近くで独立をするか考えているという話をされたので「いいじゃないですか!独立されたら教えてくださいね。行きますから!」と、私。
その後、彼は独立をして、それなりにうまくいっているというお話を聞いています。
まぁ、良くある話だとは思うのですが、自分の行動を振り返ってみると結構、適当に無責任なことを言っています。
- 独立するという彼に対して「いいじゃないですか!」 → 実際、深く考えたコメントではありません。彼の独立の結果についても興味を持っていません。
- 独立されたら教えてください。行きますから! → 実際、私はそれまで通っていた店舗に今も通い続けています。「行きますから!」は話の流れでした。
もちろん、私個人の意見がどこまで彼の意思決定に影響を及ぼしたのかは存じ上げませんが、個人のお客様はこれくらい自由気ままに意見を言っているケースが大半でしょう。
また、それまでは店舗で長らく担当をしていただいた手前、「行きますから!」とコメントは実際問題の独立後の「継続顧客」の1人として事業計画にカウントされていたであろうことは容易に想像できますが、実際問題としては、私はちょっと距離が遠くなったからという理由だけで、それまで1年以上お世話になった整体師さんとは別の人に担当担ってもらっています。
顧客サービスというわがままな要求
私は、銀座界隈でお気に入りの喫茶店があります。カフェではありません、喫茶店です。
あえて「喫茶店」と表現するのは、その喫茶店が昭和のノスタルジーを感じさせてくれる古き良き喫茶店だからです。
しばらく前には日本でも「サードウェーブ」と呼ばれるハンドドリップのカフェが騒がれていましたが、「そんなことは昔からやってますよ?」という感じの喫茶店です。
一般1000円以上するそこは、私の生活圏内でもあるため大変お世話になっているのですが、ある休日の読書の時間をそのお店で過ごしている時に、ふとした他愛もない会話が行われます。
「店で使ってるコーヒー豆、売ってほしいなぁ。俺、買うよ?」
そんな会話がきっかけになったかどうかわかりませんが、お洒落な包装と共に、いつしかそのお店のカウンターにはコーヒー豆が置かれるようになりました。
そんな言いだしっぺの私は、一回だけ購入して、その後はやっぱりお店に行ってコーヒーを飲むいつもの生活を続けております。
私の一言を実行するために、例えばどれくらいの「オリジナル包装袋の用意」や「仕入れの追加」などなどの通常の経済活動に追加の支出を発生させるか?などの思慮などは一切なく、友人と行う軽い会話のように無責任な言葉を発しているのが実情です。
お客の話は聞くべきではない?
原田泳幸氏がまだマクドナルドの社長だった頃の発言にこんなものがありました。
『アンケートをとると必ずヘルシーなラップサンドやサラダがほしいと要望があって商品化したけども売れたためしがない。ヘルシーなサラダでなくメガマックが売れる。お客は言うこととやることが違うからお客の話を聞いてはだめ。』
こんな話を引用しながらも、必ずしもお客の話を聞くべきではない、と言いきれないのが客商売だったりもします。
「聞くべき」「聞くべきではない」という二極論に囚われるべきではなく、大切なのは、まず「お客の意見についてはまんべんなく把握する努力をすること」。
そのうえで、実際の自身の動物病院経営に反映させた場合にどれくらいのインパクトが発生するかの仮説検証をしっかりと行い、お客様の希望をどのように叶えていくかを考える必要があります。
最後に
さて、今日は動物病院の顧客サービスについての話題に触れました。
一方で、弊社のようにWEBサイト周りのサービスを主に展開する場合には、実際のところ動物病院の方々から「お客様のため」という言葉を聞くことはあまりありません。
大抵は、動物病院側の希望が全てで「こうしたい」という希望のみが、こちらに来るのが実情です。
それが動物病院側の希望が、顧客がサイトに求めている情報かどうか?という検証作業そのものは、動物病院の経営層が行っていて、その決定事項がサイト制作に反映されるという流れになっています。
本来であれば、その検証プロセスから会議に参加させていただくことが、より効果的なサイト制作につながり、また顧客が求めている情報を、多すぎず、少なすぎずのボリュームで適切なナビゲーションを作り上げる最も効果的な流れである点に言及し、本日の投稿の締めとさせていただきます。